公共セクター

Session01 公共セクターはじめの一歩

セッションオーナー
稲垣康次(富士宮市役所)
猿渡進平(大牟田市中央包括支援センター)
リポーター
松林慶一(花王株式会社)

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本セッションでは、『自治体などの公共セクターが認知症フレンドリーな街づくりをするためにはどうしたらよいのか』について、富士宮市や大牟田市、豊橋市の事例を基に、様々なセクターの人々とのグループワークを通して考える試みが行われた。認知症の方に観光案内所での仕事を提案したのをきっかけに、認知症の当事者が参加型で活躍できるような取り組みを行った富士宮市では、認知症当事者の活躍が別の認知症の方へ伝わることで、予期せぬつながりが広まった結果、当事者を囲い込んだ街づくりがなされたという。また、徘徊を防ぐのではなく、徘徊を見守るために地域ネットワークの整備を行った大牟田市では、認知症に対する現場の困った声に耳を傾け、広い視点から考えることで「地域力」を高めることが継続した見守りにつながったというお話があった。これらの事例を受けて、「富士宮市や大牟田市を特別と考えるのではなく、各地域でも強みを考えて、これら2つの取り組み事例をさらに工夫するのがよい。」といった声や、「認知症本人を特別扱いするのではなく、その周りの人が見守れるように支援するような取り組み、『おせっかい社会の実現』が目指す道なのではないか。」といった意見が共有された。

続いて、実際に認知所カフェを立ち上げようとしたが、何をすればいいかがわからなかったという豊橋市から、まずは当事者の声を聞くことから始め、現在は当事者の声を届けることで認知症の理解を普及し、街づくりのために立場を超えた仲間づくりをしているというお話があった。この事例を受けて、「始めるべきは仲間づくりから。そこで伝えるべきは失敗や責任といったことではなく、成功事例を共有し、認知症当事者、地域、公共、誰もが楽しめるのが理想ではないか。」や「現場から出てこられないグループホームなどの困り事を共有するために、出張ワークショップはどうか。」といったアクションプランが提案された。最後に本セッションのまとめとして、大牟田市の猿渡さんより、「認知症フレンドリーな街づくりのために重要なのは志と仲間。まずは困り事に耳を傾け、課題(=現場の声)を共有している人を探して仲間にしていくこと。」また、豊橋市の岡本さんより、「現場に出たことがなく、知らないことばかりではどうすればいいかも見えてこない。実際に動くことから。」と、公共セクターがはじめの一歩として何をすべきかコメントがあり、本セッションが締めくくられた。